人文地理学

山村の暮らしが成り立つために必要なことを巡って論じる

 

山村は、産業基盤や生活環境の整備などが他の地域の水準と比べてかなり低く、さらに過疎化・高齢化の進行により、農林地の管理が行き届ききらないなどの問題が深刻化している。山村の機能は多岐にわたっており、たとえば土砂災害防止や生物多様性の保持、食糧生産などどれも欠かせないものばかりである。このような機能は山村での農業生産活動や森林の整備等を通して効果の出るものであり、山村は、 我が国の農林水産業の発達や国民生活だけでなく国民経済の安定に関わるなどの重要な役割を担っている。しかし山村における就業人口は現象傾向にあり、後継者不足などの課題は重い。ただ、山村の実情として、その生活環境に問題がないとは言えないので、その点を改善していかなければ問題解決には至らないだろう。

では現在、山村の生活環境はどのくらい整備されているのか。まず、道路・下水処理施設にいついてだが、道路の整備は、全国、一部山村及び全部山村とも同程度の伸び率で進展している。また、主要道路の舗装率は、全部山村で約94%と、全国では94%ということから考えても十分な水準に達していると言える。続いて、下水処理施設の整備を水洗化率でみると、全国水準との格差は縮小する傾向にあるが、山村全体で見ると全国水準よりも20%以上下回っており、これはもちろん十分とは言いがたい数値である。次に、教育機関についてだが、少子高齢化に伴い、学校の数は年々減少の一途を辿っており、約45年前と比べて小学校も中学校も約半減している。また、医療機関・診療所の数も人口あたりで見ると全国の半分ほどしか存在しておらず、近年も減少しているきらいがある。

山村が抱えている問題はこのように様々あるが、やはり財政状況の厳しさがついて回ってきてしまう。政府からの助成金が増加すればよいが、それもそう簡単ではない。民衆の声を集めた署名や募金活動も有効ではないだろうか。生活環境の改善の急がれる山村には上記のようなことを発展させていくことが重要だろう。

 

 

〈参考〉農林水産省、振興山村をめぐる状況http://www.maff.go.jp/j/nousin/tiiki/sanson/s_about/pdf/zyoukyou.pdf

 

文学部 山本京平 2回生