1. 問題・目的 
    2. 今回行ったのは、人は言葉の意味とは異なる色のついた色名単語の色を命名するときには、小さな四角形の色を命名するよりも長い反応時間がかかるという現象であるストループ効果、が実際に存在するのか、また存在した場合なぜそのような現象が起きるのか、というこことを調べる実験である。命名時間の差が生まれるとすれば、そこには色と文字という二つの属性において、人間の脳の知覚段階や概念間の競合が存在することが示唆される。
    3. 方法    
    4. 手続き:実験は2人一組で行われ、それぞれが実験者・参加者の両方を行った。実験ではストループ図版に書かれた文字の色名を口頭で答えることが求められた。被験者はまず練習用に少量の試行を行い、そのあと本試行で50個の単語を読み上げる。この時、被験者には、実験者より「“始め”の合図までは目を開けずに、合図とともに開眼し紙を裏返すこと、刺激の単語は無視して印刷色の色名のみをできるだけ早くかつ正確に読み上げること、読み上げる順番、また万一読み間違えても言い直さないこと」などの実験におけるルールを教示される。実験者は始めの合図でストップウォッチのボタンを押し、実験が開始され、被験者が読み終わるまでの時間を秒単位で計測する。さらに被験者が間違えた場合には記録用紙にチェックをいれ、誤答数を記入する。これを、一人目の被験者は、色名単語条件、無意味単語条件の順番で、次に被験者と実験者が交代した場合、つまり2人目の被験者では無意味単語条件、色名単語条件の順番で行った。
    5. 材料:二種類のストループ図版を使用した。図版の一方には赤・青・黄の三色のいずれかで書かれた無意味な単語が、もう一方には上記と同じ三色で書かれているが、表記に用いられている色とはまた別の色の名前が書かれたものが、それぞれ50個羅列されている。(前者を無意味単語条件、後者を色名単語条件と呼ぶ。)
    6. 参加者:大学生74名(男性42名、女性32名;平均年齢20.1歳

1-3.結果

  色名単語条件と無意味単語条件の平均反応時間に対して、対応のあるt検定を行った結果、色名単語条件の反応時間が無意味単語条件の反応時間よりも有意に長かった(t(73)=7.29、p=.001)。さらに色名単語条件と無意味単語条件の平均誤答数に対して、対応のあるt検定を行った結果、色名単語条件の誤答数が無意味単語条件のそれよりも有意に多かった(t(73)=2.88、p<.01)

 

1-4. 考察

上記の結果より、